臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
VII.腎疾患
新しい治療法,新しい薬剤
148.高Na透析とその適応
三浦 雅弘
1
,
大坂 守明
1
,
二瓶 宏
1
,
三村 信英
1
Masahiro Miura
1
,
Moriaki Osaka
1
,
Hiroshi Nihei
1
,
Nobuhide Mimura
1
1虎の門病院・腎センター
pp.2416-2417
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218689
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腎不全ではNa貯留が浮腫,高血圧,心不全などを招くため,血液透析による治療では老廃物の除去以外に限外濾過あるいは浸透圧勾配で,水と同時にNaの除去を図ることが必要である.従来,血液透析にはNa130mEq/l前後の低Na透析液が用いられ,濃度勾配によるNa除去も試みられていたが,透析器の高効率化に伴い,Na除去および除水性能が著しく向上し,透析中に低血圧,疲労感,筋痙攣などの低Na症状を呈する症例が認められるようになってきた.そのため最近は血清Na濃度135〜145mEq/lに近い正Na透析液が使用されるようになってきた.さらに長期症例では低血圧例が多くなり,また浸透圧勾配を利用したcell wash法などで効率の増大が工夫されるなど,生理的なNa濃度以上に高い145mEq/l以上の高Na濃度を用いる方法が応用され,透析困難症例,不均衡症例,筋痙攣例などへの応用と,透析効率の増大のためなどに用いられている.
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