臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
VII.腎疾患
新しい治療法,新しい薬剤
143.腎疾患の血漿交換療法の適応と限界
鳴海 福星
1
,
伊藤 克己
2
,
太田 和夫
3
Fukusei Narumi
1
,
Katsumi Itoh
2
,
Kazuo Ohta
3
1東京女子医科大学・腎臓病総合医療センター小児科
2東京女子医科大学・腎臓病総合医療センター腎臓小児科
3東京女子医科大学・腎臓病総合医療センター腎臓外科
pp.2406-2407
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218684
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血漿交換療法の原理
腎疾患における血漿交換療法の目的は,①抗体の除去,②免疫複合体の除去,③炎症,凝固促進因子の除去,④腎毒性物質の除去,などと考えられる.とくに腎炎においてその発症機序は必ずしも明確ではないが,患者血中に免疫複合体が見出されたり,凝固能の亢進が認められることなどにより,これらの免疫応答因子や腎組織障害因子(局所の炎症加担物質)などを除くといったいままでの薬物療法では期待できない効果が望めるわけである1).
血漿交換の方法としては遠心分離法と濾過膜分離法とがあり,その選択は主に体外循環量や血漿交換療法に必要な血流量によっている.当センターでは低体重児および幼児には遠心分離法を用い,毎分15〜30mlの血流量を得ることによって施行している.一方,濾過膜分離法では毎分100ml以上の血流量が必要であり,そのため動脈穿刺を行うなど血流の豊富なbloodaccessを確保しなければならない.
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