臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
IV.循環器疾患
問題となるケースの治療
73.自覚症状のない弁膜症,先天性心疾患
中村 芳郎
1
,
谷 正人
1
Yoshiro Nakamura
1
,
Masato Tani
1
1慶応義塾大学医学部・内科呼吸循環科
pp.2240-2241
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218614
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弁膜性心疾患,先天性心疾患で自覚症がない時期に心血管系の不可逆的変化が進行して予後の悪化する症例がある.弁膜性心疾患では大動脈弁疾患がその代表である.大動脈弁狭窄症では理学的に典型的所見を認めた時点で観血的検査を行い外科的治療を考慮するとの治療方針決定法に問題は少ないが,大動脈弁閉鎖不全症(AR)は治療方針決定に多くの問題を残している疾患である.先天性心疾患では成人で発見される自覚症のない症例は心房中隔欠損症(ASD)が70%を占める.本症の手術成績はきわめて良好で,ほとんどの症例を外科的に治療して問題はないが,内科的治療でどの程度のASDなら手術を施行せずとも生命予後,生活の質を悪化させないかに関して不明な点がある.ここでは,この2疾患を例をあげて自覚症のない疾患の治療方針の考え方について述べたい.
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