臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
II.神経・筋疾患
問題となるケースの治療
36.脳卒中急性期に脳圧亢進症状を示すとき
荒木 五郎
1
Goro Araki
1
1脳血管研究所美原記念病院
pp.2150-2151
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218577
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脳圧亢進のパターンと脳浮腫の発生機序
脳圧亢進をきたす疾患としては,まず脳出血があげられるが,脳梗塞でも,脳塞栓の重症例では脳圧亢進が出現してくる.脳出血では血腫の長径が4cm以上の場合,脳圧が亢進し,血腫周辺の組織が圧迫され,循環障害の結果,2次的な虚血により浮腫を生ずるといわれている.さらに脳室への大量の血液の穿破があれば,髄液の流通障害のために,脳圧亢進を助長する.
図1)に示すパターンAは,血腫が急激に増大し,つづけて脳圧亢進が持続的に高度に上昇し,そのまま脳ヘルニアを起こし死亡に至る.パターンBは,いったん出血が止まり,脳圧亢進が下降した後,血腫周囲の浮腫が出現し,しかも血腫が脳室へ穿破して髄液の流通障害が起こり,脳圧が再び上昇して脳ヘルニアを起こし,死に至ると考えられる.パターンCは血腫周囲の浮腫および髄液の流通障害のために脳圧亢進が起こり,第2週前後に浮腫のピークを形成して再び下降する(田沢ら1)).これが急性期脳出血の代表的な経過といえよう.
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