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特集 脳浮腫・血液脳関門
脳圧亢進時における急性危険症の実験的研究—特に副腎皮質ホルモンの影響について
EXPERIMENTAL STUDIES ON THE ACUTE EMERGENCY DUE TO THE INCREASED INTRACRANIAL PRESSURE:Especially on Effects of Adrenocorticosteroids
浅野 芳登
1
,
松岡 成明
1
,
田中 千秋
1
,
長谷川 芳秀
1
Yoshinori Asano
1
,
Shigeaki Matsuoka
1
,
Chitose Tanaka
1
,
Yoshihide Hasegawa
1
1熊本大学医学部第1外科
1The 1st Dept. of Surgery Kumamoto Univ. School of Medicine
pp.391-394
発行日 1962年5月1日
Published Date 1962/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201250
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はじめに
近年における脳外科の発展はめざましいものがあるが,術中,術後の脳圧亢進に続発する危険症は今なお大きな課題のひとつとなつている。この脳圧亢進は脳に外科的侵襲が加わればかならず発生するもので,多くの機転の中で脳組織の化学的ないし機械的刺激に対する反応としての脳自体の容積増大,すなわちいわゆる脳腫脹の発生がもつとも重要な要素をなしていることは諸家の認めるところである。
いわゆる脳腫脹の本態に関しては,従来単に脳浮腫として考えられた時代もあつたが,1905年,Reichardtは肉眼的所見および頭蓋内余裕間隙の点から脳浮腫と脳腫脹とに分類し,両者は本質的に異なるものであるとし,これに対してPen—fieldらは両者は同一過程の時期的な相違に過ぎないとした。しかるに1950年安保はGortnerが生体内の水分を自由水と結合水に分類した説をとりいれ,Hatschekの塩化コバルト法を使用して,脳含水量の面より浮腫型,移行型,腫脹型の3型に区別した。そして浮腫型では自由水の増加があり,腫脹型では結合水のいちじるしい増加および自由水,全水の減少,移行型では自由水の正常復元と結合水の軽度増加が認められるという。
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