今月の主題 血小板の臨床
疾患における血小板機能
腎疾患における血小板機能
寺田 秀夫
1
Hideo Terada
1
1昭和大学藤が丘病院・内科
pp.1704-1705
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218471
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腎炎の発生進展に免疫複合体,凝固線溶系,血小板,補体・キニン系が相互に密接に関係しているといわれ,また慢性腎不全の末期ではしばしば皮膚・粘膜出血などがみられる.その原因は血小板機能の異常と見倣され,その異常を起こす原因として,尿素,guanidinosuccinic acid,phenolまたはphenolic acidなどのいわゆるuremic toxinがあげられたが,過去10年以上の研究にもかかわらず真の原因はまだ不明である.
最近Kazatchkineら1)(1976)は非透析性たんぱくであるvon Willebrand因子が慢性腎不全例では低く,これが出血傾向の原因である可能性を推測しているが,これを否定する報告2)も多い.また一般に尿毒症の血小板機能異常は人工透析により改善されるといわれるが,週2回の血液透析でも改善せず,むしろ慢性腹膜透析が有効で,腹膜が人工膜よりも血小板機能に影響する因子を有効に除去するともいわれる.
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