今月の主題 膵疾患診療のトピックス
生化学的診断法
エラスターゼ・イムノアッセイ—臨床的意義
佐竹 克介
1
Katsusuke Satake
1
1大阪市立大学医学部・第1外科
pp.572-574
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218221
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1949年Baloら1)により動物の膵臓より発見された膵エラスターゼは膵外分泌酵素の1つで,エラスチンを分解する特異的な酵素活性を有し,種々の疾患でその臨床的意義について検討が加えられてきた.とくに近年,実験的あるいは臨床的に急性膵炎の増悪進展,出血性膵炎への移行に重要な役割を演じていることが推測され,エラスターゼの病態生理に関心がもたれてきている2,3).
このような膵エラスターゼの血中動態を測定することは,膵疾患の病態を理解する上で意義のあることで,従来から種々の方法が試みられてきた4).膵エラスターゼの測定法については,古くは,エラスチンを基質としたエラスターゼ特異的酵素活性を利用した測定法,エラスターゼに特異的な合成基質を用いての測定法など,種々の方法が試みられているが,血中にプロテアーゼ・インヒビターとしてのα1-antitrypsin,α2-macroglobulinが大量に存在しているため,これまでの方法では血中エラスターゼの測定は困難とされてきた.
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