今月の主題 呼吸不全—その実態と治療
治療
感染対策
小西 一樹
1
,
滝島 任
1
Kazuki Konishi
1
,
Tamotsu Takishima
1
1東北大学医学部・第1内科
pp.402-406
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218181
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呼吸不全の急性増悪の誘因として,呼吸器感染症は,その頻度,重症度,予後に与える影響など,いずれをとっても最も重要な因子と考えられる.呼吸不全に陥りやすい慢性肺疾患患者にとって,換気予備力の低下によって軽度の感染侵襲が加わっただけでも,ただちに重篤な低酸素血症をきたすことが少なくなく,したがってこれらの患者においては,呼吸器感染症の病態を早期に把握し,起炎菌を可及的速やかに決定して,適切な化学療法を施すべきである.
ところで,近年の医療環境の変化,なかでも老年人口の増加と,いわゆる第2世代,第3世代の抗生物質の矢継早の開発は,われわれが日常遭遇する呼吸器感染症の起炎菌分離頻度にも大きな影響を与えており,化学療法剤を選択する際にもこれらの点に留意する必要がある1).
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