今月の主題 呼吸不全—その実態と治療
実態
神経・筋疾患と呼吸不全
松尾 宗祐
1
Sousuke Matsuo
1
1国立療養所川棚病院・呼吸器科
pp.384-385
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218176
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神経・筋疾患における呼吸障害の発生機序については,Plumらは呼吸不全を引き起こす諸因子について,延髄の呼吸中枢の障害による中枢性の呼吸不全(原因:ウイルス性疾患,腫瘍,外傷による破壊,麻酔薬,睡眠薬による抑制,脱髄性疾患,まれに脳幹部の血管障害)と,下行性呼吸反射路を障害する高位の脊髄損傷(原因:頸・胸髄の外傷,腫瘍,横断性脱髄),前角細胞障害(原因:灰白質脊髄炎,ニューロン萎縮,脊髄損傷,脊髄空洞症),末梢神経障害(原因:重症の多発性神経炎,脊髄神経根炎),神経・筋接合部障害(原因:重症筋無力症,神経遮断剤),筋肉障害(原因:筋ジストロフィー症,多発性筋炎,皮膚筋炎,甲状腺中毒性筋症,急性K減少症,周期性四肢麻痺)による末梢性の呼吸障害に分類している.また,胸郭を形成する呼吸筋を支配する中枢・末梢性の神経障害による呼吸障害,神経・筋接合部の障害による呼吸障害,呼吸筋自身の萎縮による呼吸障害とした分類も考えられる.このように神経・筋疾患における呼吸不全の原因は多岐にわたっているが,いずれの原因においても呼吸筋力の低下による換気障害として表わされてくる.
呼吸筋としては,いわゆる胸郭を形成し直接的に呼吸運動に関与する筋と,間接的に関与する筋に大別されるが,呼吸筋全体の機能的重症度についてCampbell1)は次の3段階に分類している.
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