今月の主題 血清リポ蛋白の異常
血清リポ蛋白代謝異常の治療
高LDL血症の治療法
葛谷 文男
1
Fumio Kuzuya
1
1名古屋大学医学部・老年科
pp.868-870
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217762
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
高LDL血症という言葉は通常あまり用いられていなかったが,血漿中の脂質とくにコレステロールのmain carrierがLDLであること,LDLがatherogenesityと最も関連の強いこと,すなわちLDLが虚血性心疾患のrisk factorとして重要であること,反面HDLがanti-risk factorであることなどの理由により,高コレステロール血症をさらに分類するという意味で,高LDL血症という言葉が用いられるようになったと思われる.したがって,ここでは高LDL血症と高コレステロール血症(atherogenesityをもつコレステロールの高い場合)とを同義語的に考えて話を進めることにする.
血漿中にLDLが増加するメカニズムとしては,血漿中におけるVLDLからLDLへの変換の亢進が考えられる.すなわち,高VLDL血漿に伴って起こる可能性がある。この場合のratelimiting factorとしては,lipoprotein liPaseではないことが想像されている.それはheparinとかheparinoidを投与しても,LDLが血漿中でただちに増加してこないからである(むしろ低下する.この意味でMDSなどが用いられる).現在では,VLDLそのものの血漿中における増減が,LDLの生成に最も深い関係をもつと考えられている.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.