今月の主題 感染症と免疫
特殊な感染症
感染アレルギー
佐野 靖之
1
,
宮本 昭正
1
Yasuyuki SANO
1
,
Terumasa MIYAMOTO
1
1東京大学医学部・物療内科
pp.248-249
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217630
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すべての感染症には多かれ少なかれアレルギーの関与がみられ,病原微生物曝露の時間や量と宿主の免疫状態の個体差に応じて,一方の極には純粋な感染症があり,他方の極には純粋な免疫があって,その中間にさまざまな反応性病態が存在すると考えられる.感染アレルギーは,一般に病原微生物の体成分,毒素ないしその産生物が抗原として作用することにより,感染宿主に免疫グロブリンやリンホカインでmediateされる体液性および細胞性免疫反応過程が生じ,特異的抗原抗体反応の結果惹起されるアレルギー症状といえよう.このほか,病原体に対する抗体と組織成分の共通抗原性による交叉アレルギーが組織障害を起こすことがあり,溶連菌感染による心筋炎あるいは糸球体腎炎などが知られているが,他項で述べられているので触れない.
アレルギー反応は,GellとCoombs1)によりI型(アナフィラキシー型-IgE抗体),Ⅱ型(細胞溶解型-補体),Ⅲ型(Arthus型-免疫複合体),IV型(遅延型-細胞性免疫)に分類されている.感染アレルギーで主役を演じているのはⅢ型とIV型であるが,本稿においては主にⅢ型アレルギー反応に属する過敏性肺炎,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症,PIE症候群など,呼吸器と関係の深いものについて述べる.
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