今月の主題 感染症と免疫
感染症の成立
秋山 武久
1
Takehisa AKIYAMA
1
1北里大学医学部・微生物学
pp.208-209
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217613
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編集部から"感染症の成立"というテーマで執筆を依頼されたときには,やりきれない感じを禁じ得なかった.教科書的には,「病原微生物が宿主の体内で増殖を続け得るか否かは,宿主の防御力と寄生体の毒力との力関係によって決まり,前者の力が後者のそれに勝った場合には感染は成立せず,後者の力がとくに強力な場合はもちろん,前者の力が異常に低下した場合には,後者が弱毒であっても感染症は成立する」と述べられている.
また,多くの教科書は,これに引き続いて,宿主の防御力が異常に低下した例として,先天性免疫不全症,重症代謝障害,悪性腫瘍や,大量の放射線照射,免疫抑制剤・制癌剤などの投与を受けている患者をあげ,このような患者にあっては,従来は弱毒ないし非病原性と考えられていたような微生物によっても感染症が成立し,このような感染症をopportunistic infection(日和見感染)という,というような説明を行っている.
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