講座 臨床薬理学 薬物療法の考え方・10
臨床薬効評価(2)
中野 重行
1
Shigeyuki NAKANO
1
1愛媛大学医学部・薬理学
pp.153-158
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217605
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合理的な薬物療法を行うためには,目前にいる個々の患者の病態像に最も適した薬物を選択する必要がある.この最適な薬物の選択を行うためには,種々の病態像における薬物の有効性と安全性に関する科学的データが集積していることが必要である.したがって,種々の病態像を有する患者層を対象にして,個々の薬物が有効かどうか,有効ならどの程度まで有効なのか,また有害反応はどのようなものがどの程度の頻度で出現するのか,といった「臨床薬効評価」の仕事は,治療の科学性を高めていくとき,決して素通りすることのできないプロセスであるといえる.
「臨床薬効評価」の必要性,臨床薬効評価の段階についてのアウトライン,対照群を設けた比較試験が必要な理由などに関しては,前回述べた.今回は,現在広く行われているいわば標準化された感さえある臨床薬効評価の根底にある考え方を中心にして,人間を対象とした仕事に伴う倫理性の問題などにも触れることにする.
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