今月の主題 肺機能検査から疾患肺へ
病変部位と機能検査
実質病変
福地 義之助
1
Yoshinosuke FUKUCHI
1
1東京大学医学部・老年病学
pp.2038-2040
発行日 1981年12月10日
Published Date 1981/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217530
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肺の実質と間質
ある臓器の実質とは,本来その臓器が遂行すべき機能が営まれる部分と解するのが一般的である.肺についていえば,ガス交換が営まれる肺胞腔が実質と考えられるわけで,実質細胞としては肺胞腔の内壁を形成する肺胞上皮細胞があげられる.肺胞上皮細胞は薄く内腔の大部分を被覆するI型細胞と,肺胞隅角に好んで存在し,corner cellとかつて呼ばれたこともある,比較的大型のII型細胞とから成り立っている.両者を合わせても,肺内細胞の総量に占める比率は小さく,この点で肺は実質細胞に富む肝臓などと対照的である.むしろその構造は腺構造によく似ていて,気腔が腺房に相当し,肺胞上皮細胞に囲まれた肺胞腔は実質の中に含めるべきであるとする山中らの指摘1)は妥当なものと思われる.
このように肺実質を肺胞上皮細胞を含む肺胞全体と定義すると,肺の間質はその他の部分となり,実質と隣接して存在する.
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