今月の主題 内科医に必要な救急治療
おもな救急疾患とその治療
脳梗塞
佐藤 雅春
1
1川崎医科大学・救急医学
pp.828-830
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220946
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基本的な考え方
脳動脈の閉塞による脳血流低下のために脳に虚血性壊死が起こったものが脳梗塞であり,中大脳動脈領域に好発する.その成因から脳血栓と脳塞栓に大別できる.すなわち,脳血栓は脳内動脈の動脈硬化により血栓が生じ血管閉塞が起こるものであり,日本人の脳梗塞の過半数を占める.一方,脳塞栓は他の部位に生じた栓子が血流とともに脳への灌流動脈へ運ばれ閉塞をきたすものである.この塞栓の由来は大部分が心臓で,弁膜あるいは心内膜疾患,不整脈,特に心房細動に起因する.なお脳塞栓は脳梗塞の約30%を占めるといわれているが,脳血栓と脳塞栓の区別は必ずしも明瞭ではなく,例えば頸部頸動脈のアテローム病変由来の栓子によるものは,両者の中間的性格を有し血栓塞栓と呼ぶことがあり,欧米ではこれによる脳梗塞が過半数を占める.なお,脳梗塞の発生を惹起する危険因子としては,飲酒,高血圧,心疾患,糖尿病,喫煙,経口避妊薬内服があげられる.
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