連載 聞いて腑に落ちる病気の話 第16話
脳梗塞
秋野 恵美子
1
1小樽市保健所
pp.296-297
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100502
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「硬塞」とは何か
「脳梗塞」という病気は,脳の血管がつまってしまう病気です。「血管がつまる」ことを「梗塞」というのです。脳の血管がつまると「脳梗塞」,肺の血管がつまると「肺梗塞」,心臓だったら「心筋梗塞」……私たちの身体にはすみずみまで血管が走っていますから,身体中どこでも「梗塞」ということが起き得ます。
では,血管がつまると,どうなるのでしょうか? 少しショッキングな言い方ですが,その血管で養われていた範囲は“死んでしまう”のです。私たちの身体は,酸素がなければ生きられません。酸素は血液のなかの「血色素」が運んできます。つまり,血液が通わなければ,その組織には酸素が運ばれないので,死んでしまうのです。このように,「脳梗塞になる」=「脳の組織の一部分が死んでしまう」ため,症状が出るわけです。ただし,他からの供給路が豊富な場合,つまっても完全な梗塞にならず,機能停止した“半死”状態の部分が残ることがあります。この部分に対して,発症早期なら手術や薬剤,高気圧酸素療法などが有効となることがあります(この供給路を側副血行路といいます)。
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