今月の主題 白血病—最新の概念と治療
新しい概念
成人T細胞性白血病
木下 研一郎
1
,
上平 憲
2
,
池田 柊一
3
Kenichiro Kinoshita
1
,
Shimeru Kamihira
2
,
Shuichi Ikeda
3
1長崎大学原研・内科
2長崎市立市民病院・内科
3放射線医学総合研究所・障害臨床
pp.1876-1877
発行日 1981年11月10日
Published Date 1981/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217394
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疾患概念
成人T細胞性白血病(adult T-cell leukemia:ATL)は,1976年に高月らにより提唱された疾患概念である.その特徴を要約すると,小児に多い急性リンパ性白血病と異なり40歳以後の成人に好発し,羊赤血球とロゼットを形成する核変形の強いT細胞が末梢血に多数出現し,これらの白血病細胞が多くの臓器へ浸潤(ことに皮膚病変が特徴的)するとともに,高Ca血症や免疫不全に基づく各種感染症を高率に合併する予後不良の疾患である.また本症は外国には少なく,日本のなかでも南西日本,ことに九州地方に多い点が地理病理学的に注目されている.
本疾患の本態は,T細胞由来のnon-Hodgkin's lymphoma(NHL)の白血化例であるが,腫瘍細胞が小型のものほど白血化する傾向が強く,ATLの状態になりやすい.そのリンパ節組織像は,本邦の病理学者グループ(Lymphoma Study Group)によって1978年に発表された新分類(LSG分類)で多形細胞型を呈することが多い.
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