病気のはなし
成人T細胞白血病(ATL)
上平 憲
1
1長崎大学医学部臨床検査医学講座
pp.1102-1112
発行日 1997年12月1日
Published Date 1997/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903287
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新しい知見
成人T細胞白血病(adult T cell leukemia;ATL)は,レトロウイルスの一種HTLV-Iに感染し,CD4T細胞が単クローン性に増殖したもので,臨床的表現型の多様性を特徴とする造血器腫瘍である.したがって,ATLの最終診断は腫瘍細胞ゲノム中にウイルスが単クローン性に組み込まれていることを証明する遺伝子診断が不可欠となった.
また,ATLの研究を通じてATLの病態解明のみでなく,発癌の機構,サイトカイン-サイトカイン受容体系,細胞シグナル伝達系などの他分野の医学の進歩にも著しく貢献した.急性型ATLは抗癌剤に抵抗性で予後不良であるが,最近,HIV抗ウイルス剤AZTとインターフェロンの併用の有効性が報告され,注目を集めている.
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