今月の主題 白血病—最新の概念と治療
新しい概念
hemopoietic dysplasia
山口 潜
1
Hisomu Yamaguchi
1
1虎の門病院・血液科
pp.1874-1875
発行日 1981年11月10日
Published Date 1981/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217393
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概念
急性白血病の早期兆候についてはじめて記載がみられるのは,1940年代のフランスの文献であるといわれている(Dustin MP 1944,Marchal Gら1944).1949年,Halnilton-Paterson JLはActa Haematol 2:309に,"preleukaemic anaemia"という診断を記載している.以前にはいわゆるpreleukemic syndromeは稀なものと考えられていたが,最近では稀な病態ではなく,Linman JWら1)(1978)は米国で年間1,500例の新患が発生していると想像している.
従来,白血病は1つのcell line,たとえば顆粒球系がおかされる病態と考えられてきたが,慢性骨髄性白血病に比較的に特異性をもって観察される染色体異常―Ph1染色体―が,顆粒球系のみならず赤芽球・巨核球にもみられることが確認され,慢性骨髄性白血病も3系統の全血球系の腫瘍と解されるようになった.急性骨髄性白血病の診断時にも,単球系・赤芽球系,巨核球系の腫瘍性増殖が疑われる所見をみることが多く,「汎骨髄症」の進展中の一断面をみているという解釈もなされている.
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