異常値の出るメカニズム・42 酵素検査(2)
血清トランスアミナーゼ(GOT・GPT)
玄番 昭夫
1
Teruo GEMBA
1
1中央鉄道病院・中央臨床検査室
pp.1765-1769
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217372
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GOT・GPTの臓器分布
GOT(EC 2.6.1.1,正式にはaspartate aminotransferase,ASTという)あるいはGPT(EC 2.6.1.2,正式にはalanine aminotransferase,ALTという)とは,
L-アスパラギン酸+2-オキソグルタール酸⇌オキサロ酢酸+L-グルタミン酸
L-アラニン+2-オキソグルタール酸⇌ピルビン酸+L-グルタミン酸
という反応を触媒する酵素で,両者とも一種のピリドキサルリン酸蛋白である.すなわち補酵素としてピリドキサルリン酸を必要とし,これが,GOT,GPTの蛋白部分(アポ酵素,すなわちアポGOT,アポGPT)に結合したピリドキサルリン酸蛋白(ポロ酵素)が上記反応を触媒できるGOT,GPTである.この両酵素の相対的臓器濃度を比較してみると図1のようになる.すなわちGOTは心,肝,骨格筋に多い酵素であるが,GPTはほぼ肝特異性といわれるほど肝に局在している酵素である.腎にはGOT・GPTともに比較的多く含まれるが,腎疾患で血清GOT・GPTは上昇してこないので,腎について考慮する必要性はない.
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