特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IV.肝・胆・膵
1.主な肝機能検査
血清トランスアミナーゼ(GOT,GPT)活性
平山 千里
1
1九大第3内科
pp.1072-1075
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204206
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GOT,GPTとは
血漿中には多数の酵素が含まれているが,大別すると,血漿特異酵素と血漿非特異酵素に分類することが可能である1)(表1).血漿特異酵素は,正常血漿の機能的構成成分の一つであり,血漿タンパクと同様の機序で生成され血中に出現する.この代表例はコリンエステラーゼである.血漿非特異酵素は,血漿の機能的構成成分ではないため,血漿中の濃度は一般に低い.血漿非特異酵素は,さらに排泄酵素と細胞酵素に分類することができる.前者は分泌腺細胞の構成因子であり,血漿中に排泄されるものであり,代表例はアルカリ性フォスファターゼである.細胞酵素は,細胞内に高濃度に存在しており,細胞内代謝に重要な役割を演じているものである.細胞酵素の代表例はトランスアミナーゼであり,このうち,GOT(グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ,一般名:Aspartate Aminotransferase),GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ,一般名:Alanine Aminotransferase)がその代表酵素である.
GOTは,筋肉や肝に高濃度に存在し,またGPTは,肝に高濃度に含まれており,組織濃度は,血漿濃度の104程度である.したがって,筋や肝の細胞膜の透過性の変化や機械的障害で容易に血中に出現する.そのため,細胞酵素は別名,逸脱酵素または漏出酵素ともよばれている,細胞酵素の血中濃度を規定する因子としてつぎの4因子を考えることができる2).
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