臨床講座=癌化学療法
注目されている新抗癌剤—その1:類縁化合物
小川 一誠
1,2
,
岡部 健一
1,2
Makoto OGAWA
1,2
,
Ken-ichi OKABE
1,2
1癌研
2癌化学療法センター臨床部
pp.681-684
発行日 1981年4月10日
Published Date 1981/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217135
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癌化学療法の進歩を推進する最大の因子は新抗癌剤の開発である.たとえば過去におけるvincristineの発見は小児急性リンパ性白血病,悪性リンパ腫を治癒可能な水準に到達させ,近年のcisplatinumの開発は従来難効性とされていた睾丸腫瘍を治癒可能とせしめた.このように新抗癌剤の開発なくしては化学療法の進歩はありえない.本稿で現在,欧米および本邦でどのような新抗癌剤が研究されているかを,その臨床成績を中心に紹介したい.
世界的に最も盛んに研究されているのは,類縁化合物である.その目的とするところは,本来の薬剤(母化合物)の有する特長をより伸ばし,また欠点を除こうとするものである.換言すれば,抗腫瘍効果をより高め,あるいは有効腫瘍の範囲をより広くすること,および毒性を軽減することである(表1).
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