特集 小児がん診療の新展開
各論 小児がん診断の新展開
固形腫瘍
孝橋 賢一
1
,
奥野 高裕
1
Kenichi Kohashi
1
,
Takahiro Okuno
1
1大阪公立大学大学院医学研究科診断病理・病理病態学
pp.1385-1389
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002748
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はじめに
従来,ホルマリン固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded:FFPE)標本は,メチレン架橋に伴う化学的修飾や酸化に伴う核酸の断片化のため,遺伝子解析には不向きといわれていた。しかし,2005年頃に登場した次世代シーケンス技術を契機に,遺伝子解析技術は目覚ましく向上し,安価での提供が可能になったことで,病理組織形態だけでは得られなかった新たな知見が次々に報告されるにいたった。これは,FFPE検体がもっとも利用しやすい固形腫瘍の遺伝子解析という点で画期的な出来事である。それに加えて,がんゲノム医療の推進によるFoundationOne® CDxやGenMineTOP®といった遺伝子パネル検査の普及により,腫瘍を形態のみならず分子生物学的にも理解し,治療に反映させることが必須の時代になっている。さらにはgeneticsからepigeneticsの時代に入りつつあることにも留意する必要がでてきている。

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