特集 アレルギーと自己免疫
I.免疫機能―最近の進歩
5.自己免疫の成立
2)HLAと自己免疫
坂根 剛
1
,
岳野 光洋
1
Tsuyoshi SAKANE
1
,
Mitsuhiro TAKENO
1
1聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター病因免疫部門
pp.50-52
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900796
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はじめに
免疫応答は自己と非自己の識別を基本にして成立し,一度,免疫機構の引き金が引かれると,寛容か免疫かというどちらかの様式をとる.正常個体においては自己反応性T細胞の消失もしくは,自己抗原特異的T細胞の末梢レベルでの抑制に基づいて免疫寛容が成立していると考えられており,これがなんらかの機序で破綻すると自己免疫現象の出現につながる.
正常個体の免疫応答性をその多形性に基づいて規定している最も重要な遺伝子は,主要組織適合性抗原(MHC)に連鎖する免疫応答遺伝子である.ヒトMHCであるHLAと自己免疫疾患との関連については,これまでにHLAハプロタイプと疾患感受性という点から議論されてきた.本稿では,これに加えて最近の分子レベルでの解析による知見を含めて,自己免疫発症におけるMHCの役割について概説してみたい.
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