特集 出血傾向のLaboratory Diagnosis
Ⅳ.各種疾患と出血
2.肝胆道疾患
上野 幸久
1
,
遠藤 了一
2
1川崎中央病院(内科)
2三宿病院研究検査課
pp.1341-1347
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915627
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凝固と線溶に関与する血漿蛋白質のうち第Ⅷ因子を除く他の多くは,肝細胞において合成される.また凝固〜線溶系ならびにインヒビターは相互に密接な関連を持ち,その生理的な動的平衡が正常に維持されている.これら凝固系の活性化に対応するインヒビターも肝細胞によって生成されるものが多い.また活性化された第Ⅸ,Ⅹ,ⅩⅠ因子などの凝固線溶系因子の処理機構が肝網内系に存在すること,更には肝硬変において血小板の減少と異常が出現しやすいことなど,肝と血液凝固とは密接に関連している.このため,肝障害がある程度以上高度となると,これら凝固因子の合成障害と異常消費,線溶亢進ならびに血小板の減少を伴い出血傾向を来すことが多い.本稿では主として肝疾患における重症度と血液凝固線溶系の異常と,それらの検査法についてその臨床的意義を解説してみたい.
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