今月の主題 糖尿病診療の現況
合併症
合併症の進展
星 充
1
Mitsuru HOSHI
1
1大阪厚生年金病院・内科
pp.36-39
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216991
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今日糖尿病治療における最も重要な課題の1つは,合併症の発症と進展の阻止である.糖尿病の合併症は血管合併症とそれ以外のものに大別されるが,血管合併症は病理学的にmicroangiopathyとmacroangiopathyに,それ以外のものとしては神経病変,白内障などが臨床上問題となることが多い.
microangiopathy(細小血管症)は,全身のほとんどすべての臓器における毛細血管基底膜の肥厚として,電子顕微鏡的に観察されており,インスリン作用不足による代謝異常に基づくものと考えられている.macroangiopathy(動脈硬化症)は動脈壁における脂質沈着や血栓形成などが原因となるが,糖尿病に特徴的というよりは,老化と関連して高頻度にみられるもので,動脈硬化の進展阻止は,必ずしも容易でない.
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