今月の主題 糖尿病診療の現況
合併症
神経障害
松岡 健平
1
Kempei MATSUOKA
1
1東京都済生会中央病院・内科
pp.42-43
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216993
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糖尿病患者に神経障害が合併することは古くから知られており,diffuse symmetrical neuropathyとmononeuropathyに大別される.前者は体神経系に広くpolyneuropathyの型で発現すると同時に,自律神経系も侵される.後者はまったく趣きを異にし,その症状の予後が良好なのに比べ,永久に不治であるかのごとく続く期間がある.原因はインスリン作用不足下における高血糖状態より,神経組織にpolyol類が蓄積し,ブドウ糖のとり込みに反比例してmyoinositolの減少がみられる.結果として,節性脱髄や軸索変性が起こっていることがわかっており,原因は代謝性の要因であることが示唆されている.後者は脳神経あるいは体神経系の単一の神経支配領域に症状をもたらし,無治療の状態でも2週間から3カ月のうちに改善をみることから,血管閉塞が原因とされている.
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