今月の主題 糖尿病診療の現況
検査
血糖の自己測定
田嶼 尚子
1
,
池田 義雄
2
Naoko TAJIMA
1
,
Yoshio IKEDA
2
1慈恵会医科大学医学部・第3内科
2慈恵会医科大学医学部・内科
pp.34-35
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216990
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糖尿病患者の在宅検尿が一般化されたのは,1950年代からのことである.患者自身の手になる尿糖検査は,インスリン治療者のインスリン量を調節する上で,外来通院時の血糖値とあわせて治療上のよい指標とされてきた.そして自己検尿の実施は,同時に病気を自ら管理していく上での大きな力づけとなってきた.しかし,尿糖はあくまでも血糖値を間接的に反映しているにすぎない.腎の尿糖排泄閾値に変化のあるとき,あるいは低血糖発作時に尿糖検査は無力である.ましてや病状の不安定なインスリン依存性糖尿病や,厳格なコントロールを要求される妊娠糖尿病では,いかに在宅検尿をくり返しても隔靴掻痒の感をまぬがれない.
このような実情をふまえて,従来の管理方法では不十分だったタイプの糖尿病を,よりよくコントロールするための手段として導入されたのが血糖の自己測定である.おりから改良が重ねられてきた簡易血糖測定法を用いて,在宅のまま患者に血糖を測定させるという手段の有用性はすでに各方面から高い評価をうけている1〜3).
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