臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XI.感染症
淋菌性尿道炎 VS 非淋菌性尿道炎
松下 一男
1
Kazuo MATSUSHlTA
1
1防衛医科大学校・泌尿器科
pp.2094-2095
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216891
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なぜ鑑別が問題となるか
淋菌性尿道炎gonococcal urethritis(GU)は淋菌によりひき起こされる尿道炎であり,非淋菌性尿道炎nongonococcal urethritis(NGU)は淋菌が検出されない尿道炎の総称である.いずれも性交がきっかけとなって感染するし,成年男子に罹患率が高く,尿道口からの排膿を主訴とする点など症状も似かよっていて,鑑別に迷うことがよくある.また,GUとNGUに同時に感染すると,GUが治癒してから数日後にNGUが発症することがあり,これはとくにpostgonococcal urethritis(PGU)とよばれているが,この場合にはGUの再感染,再発との鑑別もしなくてはならない.治療は本人だけではなく,とくにGUの場合には相手の治療も必要となる.薬剤の選択に際してはGUかNGUかの鑑別がきめ手となる.GUにはpenicillinとprobenecidの組み合わせが有効であり,NGUにはtetracyclineやerythromycinを投与する.
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