臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IX.血液疾患
白血病 VS Dysmyelopoietic Syndrome
土屋 達行
1
Tatsuyuki TSUCHIYA
1
1日本大学医学部・臨床病理学教室
pp.2052-2053
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216873
- 有料閲覧
- 文献概要
Dysmyelopoietic Syndrome(DMPS)とは
近年,診断技術の発達に伴い,従来いわれていた急性白血病の概念にあてはまらないが,経過を追ってゆくと急性白血病へ転化する症例が報告されるようになった.Blockらは,急性白血病と診断された時点よりretrospectiveにみた血液学的異常状態を前白血病状態preleukemic stateという概念でとらえることを提唱した.その後,前白血病状態とされる造血障害がmyeloid stem cel1レベルの病変に基づくことが強く示唆されることや,急性白血病への転化の可能性は確かに高いが,転化しないまま感染などで死亡する例も少なからず存在するなど多くの知見が報告されてきた.また,1971年以来,前白血病状態の主題のもとに国内でも国外でも討議会が再三開催された.その結果,現在では,ある程度prospectiveに前白血病状態であることが推定できるようになった.そこで"preleukemia"という用語はあくまでもretrospectiveに用いる用語とし,overtな急性白血病以前に存在している種々の造血障害についてはDysmyeloDoietic Syndrome(DMPS)あるいはHemopoietic Dysplasia1),Myeloid Dysplasia,Stem Cell Dysplasiaなどという用語を用いて表現したほうが適切であろうと提案された.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.