臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
III.消化管疾患
薬剤性大腸炎 VS 感染性大腸炎
竹本 忠良
1
,
福本 陽平
2
Tadayoshi TAKEMOTO
1
,
Yohei HUKUMOTO
2
1山口大学医学部・第1内科
2山口大学医学部・内科
pp.1902-1903
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216806
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薬剤性大腸炎の問題点
薬剤性大腸炎は最近注目されてきた疾患で,現在のところ一般に通用する診断基準はない.一応,①薬剤投与後に大腸炎が発生し,②そのほかの大腸炎症性疾患が存在しないものを,その基準としている.原因薬剤としては抗生物質が最も多く,Ampicillin,Amoxicillin,CiclacillinなどのPenicillin類,Lyncomycin,Clindamycin,Chloramphenicol,Cephalexin,Tetracyclineのほか,Aureomycin,Terramycin,Streptomycin,Duracillin' Kanamycin,Erythromycin,Neomycin,Hetacillin,Vancomycin,Piromidic Acidなど数多くの薬剤が報告されている.
主症状は下痢,血便,腹痛および発熱で,一般に全身状態は良好である.投与開始より症状発現までの期間は7〜14日以内とされている.投薬を中止し対症療法を行うことによって治癒することが多いが,偽膜を形成する症例では,時に重篤な大腸炎の症状を示すものがある.大腸粘膜は著明な発赤,出血,びらん,浮腫を主徴とし偽膜を形成しない例と,多数の黄白色,小斑状の偽膜を形成する例がある.
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