臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
II.呼吸器疾患
過換気症候群 VS 急性呼吸不全
西田 修実
1
Osami NISHIDA
1
1広島大学医学部・第2内科
pp.1884-1885
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216798
- 有料閲覧
- 文献概要
なぜ鑑別が問題となるか
過換気症候群とは,不安,緊張,興奮,恐怖などの心理的要因に基づき,発作性に過換気になる状態であるのに対して,急性呼吸不全とは,何らかの原因で動脈血O2分圧(PaO2)が急激に著しく低下し,そのために生体が正常な機能を営みえなくなる状態である.
急性呼吸不全にはhypoxemia with hypercapniaとhypoxemia without hypercapniaとがあるが,過換気症候群との鑑別が問題になるのはhypoxemia without hypercapniaの場合である.なぜなら,hypoxemia with hypercapniaの場合には換気は抑制されるので,鑑別に問題はないが,hypoxemia without hypercapniaの場合には,PaO2を少しでも正常にもどそうとする生体の反応によって,過換気になるからである.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.