今月の主題 高血圧症—最近の動向と展望
治療
高血圧の地域管理
籏野 脩一
1
Shuichi HATANO
1
1東京都老人総合研究所・疫学部
pp.1725-1727
発行日 1980年11月10日
Published Date 1980/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216758
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高血圧の地域的取り組み
高血圧が公衆衛生の問題とされるのは,その頻度が高いこと,放置すれば死や障害の原因となること,それら合併症の予防は可能であるのに患者が放置していることが多いことなどのためである.
1978年の統計によれば,40歳以上の国民の総死亡64.4万名のうち,高血圧関連の死亡は31.1万名で死亡の48%を占めた.45歳以上では有病率,受療件数とも高血圧は単独で首位を占め,その医療費は年間1,400億円に及ぶ.高血圧の合併症をも加えると,件数は1.5倍,医療費は12倍にもなる.高血圧は高年齢ほど増加するので,高齢化が急速に進行しているわが国では,今後ますます重要性を増すであろう.老人痴呆もふえる.わが国の老人痴呆は高血圧を原因とする脳血管障害によるものの比率が高い.てれらの状況は高血圧制圧に向けて一層の行政努力と住民の取り組みを要請している.
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