高齢者高血圧の管理

Management of hypertension in older patients

はじめに

　高血圧治療の目的が脳心血管病の予防であることは高齢者も同じであり，大規模臨床研究のエビデンスの蓄積が進むなかで，徐々に降圧目標が積極降圧に移行してきている。高血圧治療ガイドラインも，積極降圧を原則とした治療を行うなかで，課題となることを整理して具体的な対応策を提示していく段階に移行してきている。一方で，高齢者においては降圧治療に伴う主要臓器の灌流障害が懸念されるために，過降圧への対処が求められる。降圧治療に伴う益と害（安全性）の問題は，高齢者の病態が多様であることから一律にすることは難しい。ガイドラインにおいては，システマティックレビューをもとにした推奨決定とともに，高齢者高血圧の病態に加えて高齢者の多様性・特殊性を理解したうえでの対処法の提示が重要である。本稿では，これらの視点に沿って課題と対処について整理する。