今月の主題 感染症—治療の実際
抗生物質の使い方
臓器障害のあるとき
小林 譲
1
Yuzuru KOBAYASHI
1
1愛媛大学医学部・第1内科
pp.1496-1499
発行日 1980年10月10日
Published Date 1980/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216700
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はじめに
細菌感染症の治療は,病巣の部位,病原微生物の種類および薬剤に対する感受性が明らかな場合は,抗菌力があり,かつ病巣がある臓器・組織への移行がよい薬剤を用いることが原則である.すなわち,正しい診断に基づいて,最も適切と思われる抗生物質を用いるが,単に試験管内で抗菌力が強いというだけでなく,薬剤の吸収,排泄,血中濃度,臓器移行性,持続時間などをよく理解して用いることによって,十分な効果が期待できる.
さらに,実際の使用にあたっては,薬剤の治療効果とともに副作用に対する配慮も大切である.薬剤側からは,大量・長期間使用するほど副作用は起こりやすく,利尿剤や血漿増量剤との併用によって増強される場合がある.他方,生体側では,腎・肝・心などに障害がある場合に注意が必要で,とくに腎障害の場合に重篤な副作用をきたしやすい.
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