今月の主題 今日の血液形態学
リンパ球の形態
悪性リンパ腫の分類—最近の傾向
若狭 治毅
1
Haruki WAKASA
1
1福島県立医科大学・病理学第1講座
pp.1216-1217
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216634
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従来の分類と問題点
悪性リンパ腫はRappaport分類に従い1),純形態学的立場から表1のように分類され,腫瘍細胞の増殖様式に従って結節状(濾胞性)とびまん性とに分けられている,さらに,それぞれを構成する腫瘍細胞の形態的特徴によって組織亜型が区別された.もっとも,わが国では,表の右側に示してあるように,巨大濾胞性リンパ腫,細網肉腫,リンパ肉腫およびBurkitt腫瘍などが一般に親しまれ,用いられてきた.この分類は,リンパ組織を構成する支持細胞を細網細胞ないし組織球とし,実質細胞をリンパ球とみなし,両方の細胞からそれぞれに腫瘍が発生するという考えから出発している.
しかし,近年,リンパ球に対する認識が深まるにつれ,リンパ球の持つ多潜能が浮きぼりにされてきた.その主なものとして次の諸点があげられる.①PHAをはじめ多くの抗原によるリンパ球の芽球化現象,②末梢リンパ組織は発生と機能を異にするいくつかのリンパ球の集合から構成されていること(heterogenous population),および③異質なリンパ球,とくにT,Bリンパ球のリンパ組織における局在が明らかにされた.すなわち,リンパ節では胚中心を含むリンパ濾胞にB細胞が,副皮質(paracortex)にT細胞が存在している.④細網細胞と組織球とは異なる細胞であり,とくに後者については血液単球にその起源が求められるようになった.
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