今月の主題 今日の血液形態学
赤血球の形態異常
Pyrimidine 5' nucleotidase deficiency
岸本 進
1
,
一二三 篤子
2
Susumu KISHIMOTO
1
,
Atsuko HIFUMI
2
1熊本大学医学部・第2内科
2熊本大学医学部・内科
pp.1176-1177
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216620
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赤血球のpyrimidine 5' nucleotidase(以下P5'Nと略す)の活性低下による遺伝性溶血性貧血は,赤血球の好塩基斑点(basophilic stippling)の著増,赤血球内の還元型グルタチオン(GSH)および総ヌクレオチドの増加によって特徴づけられる疾患として,1974年Valentineらが第1例1)を報告している。それ以前には,このような症例は蓄積したピリミジンヌクレオチドをアデニンヌクレオチドと誤って測定したため"high ATP syndrome"に属するものと考えられていた2).その後,各国から症例報告が相ついで行われ,日本人の6例(3家系,うち2家系は自験例3))を含め,現在20数例に達している.この疾患は,遺伝性非球状性溶血性貧血で,今までの全報告例において末梢血塗抹標本で赤血球の好塩基性斑点がめだつという形態学的特徴を有しており,この特徴が診断の手がかりとなっている.
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