今月の臨床 性差医療
男性更年期障害―Partial androgen deficiency in the aging male
高田 晋吾
1
,
辻村 晃
1
,
奥山 明彦
1
1大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(泌尿器科)
pp.900-903
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100733
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はじめに
わが国では,人口の急速な高齢化に伴い,2006年には65歳以上の高齢者が2,500万人を超え,総人口の20%を超えると予想されている1).高齢化社会の到来は,より健康で長生きをしたいという要求を高め,疾病への対策とともに,肉体的,精神的にも健康な生活の質(quality of life : QOL)の向上への対策も必要とされる.男性更年期障害(partial androgen deficiency in the aging male : PADAM,もしくはlate onset hypogonadism : LOH)は,これらの社会的背景に伴い生まれた比較的新しい疾患概念である.国際的研究機関であるThe International Society for the Study of the Aging Male(ISSAM)は「加齢に伴う男性ホルモンの低下に基づく生化学的な症候群」を男性更年期障害(andropause)と定義しており2),性欲低下や勃起障害などの性機能症状だけでなく,睡眠障害,記憶力低下,集中力低下,落胆,抑うつ,苛立ち,不安,疲労などの精神心理症状や骨粗鬆症,変形性関節炎や関節機能の低下,筋肉量の減少など運動器の関連症状,体毛や頭髪の減少など皮膚症状,発汗,ほてり,動悸など多彩な身体症状を示し,中高年者のQOLを著しく悪化させる要因になると考えられている.
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