4-Methoxy-6-Sulfanilamido-Pyrimidine（Sulfamonomethoxine）の尿路感染症治験

URINANY TRACT TREATED BY 4-METHOXY-6-SULFANIDAMIDO-PYRIMIDINE

I．緒言

　Penicillinに始まり，streptomycin，chloramphenicol，tetracyclin等と多数の抗生物質が発見されて以来，感染症の化学療法はこれ等抗生物質によつて独占された感がある。広い抗菌スペクトル，強力な抗菌力により，これ等抗生物質が感染症臨床に極めて優秀な効果を収めた事実については，今更多言を要しない。しかしながらひるがえつてみるに，抗生物質の濫用は，耐性菌を生み，candida症等の副作用派生をみ，現在，治療効果を挙げるためには新しい抗生物質の探究がたえず行なわれている状態である。

　一方，Sulfa剤は，抗生物質の出現により一時姿をひそめていたが，近年に至り抗生物質療法のゆきづまりを打開するべく，新しい研究が行なわれ，少量，1回投与で長時間にわたり高い血中濃度を維持する，いわゆる"持続性sulfa剤"が次々に発見され，感染症治療に大きく貢献している。著者は，さきにsulfadimethoxineを尿路感染症に用い，極めて優秀な治療効果を収めた事を報告したが，今回，新たに4-methoxy-6-sulfanilamido-pyrimidine（sulfamonomethoxine）の提供をうけたので，尿路感染症治験について報告する次第である。