特集 図説 胃と腸用語集2012
画像所見〔全消化管〕
側面変形(lateral deformity)
高木 靖寛
1
1福岡大学筑紫病院消化器内科
キーワード:
硬化像
,
陰影欠損
Keyword:
硬化像
,
陰影欠損
pp.717
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113305
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
- サイト内被引用
側面変形とは,癌のX線二重造影側面像における消化管壁の内腔側への変形であり,深達度診断の客観的な指標とされ,治療方針の選択に重要な所見である.管腔が十分拡がった二重造影像で判定され,その成因は,癌細胞量とそれに伴うfibrosis,反応性のリンパ濾胞増生などによる病変部の硬さと周囲の非癌部の消化管短軸方向への伸展性の差で現れると考えられている.
側面変形の形態と癌の浸潤量,深さとは密接な相関があり,牛尾ら1)は消化管癌の側面像における一側変形の型を4つのパターンに分類している(Fig. 1).すなわち,無変形,角状変形,弧状変形,台形状変形であり,台形状変形は固有筋層またはそれ以深に浸潤した進行癌の所見である.弧状変形では癌巣が粘膜下層にmassiveに浸潤しているかまたは固有筋層に少量浸潤している所見,角状変形では粘膜下層への中等量の浸潤,無変形では癌巣は粘膜固有層にとどまっているか,粘膜下層に極少量浸潤したものと報告している.牛尾らの分類は主に大腸癌の深達度診断で検討されてきたが,食道癌,胃癌でもその有用性が報告されている.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.