今月の主題 肺の炎症性疾患—最近の動向
マイコプラズマとウイルス
オウム病
河合 健
1
,
藤野 忠彦
2
Takeshi KAWAI
1
,
Tadahiko FUJINO
2
1慶応義塾大学医学部・内科
2国立がんセンター研究所・血清部がん胎児共通抗原研究室
pp.355-357
発行日 1980年3月10日
Published Date 1980/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216438
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はじめに
オウム病Ornithosis, Psittacosisは,クラミジアの感染症で,従来ヨーロッパでの報告が多かったが,わが国では1957年の報告以来まれながらみられ,新しい形の肺炎として注目されている.自然界では,オウム,インコ類が主として感染するが,ハト,ニワトリ,七面鳥,鷲鳥,カナリアなどもおかされる.クラミジアに感染した鳥類は,肺炎や下痢をおこし衰弱するが,その際これらの鳥と直接接触するか,排泄物,痰などを吸引して発病するものである.
鳥と人との関わりが病気の原因となるものとして,クリプトコッカス症と鳥飼病があげられるが,前者は鳩が保菌者としての意味をもつもので,排泄物中のクリプトコッカスに感染することから,オウム病に類似する.鳥飼病は,鳥の排泄物中の有機塵埃抗原によって,経気道的に感作された結果としておこる過敏性肺臓炎である.
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