今月の主題 炎症性肺疾患へのアプローチ
診断のポイントと治療
感染症
オウム病
水野 紹夫
1
,
田村 昌士
1
1岩手医科大学.第3内科
pp.248-249
発行日 1988年2月10日
Published Date 1988/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221526
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オウム病は,Chlamydia psittaci(以下,C. psittaci)によっておこる感染症で,主病変は肺炎であり,感染経路としては鳥類,主としてセキセイインコからヒトに感染する人畜共通感染症の一つである.わが国では,1957年に集中的にオウム病の報告1)があり,その後散発的に症例報告がみられ,感染源はセキセイインコ,オウム,十姉妹,カナリア,鳩などである2).最近,海外からの鳥類の輸入が盛んとなり,ペットブームを来すとともに,オウム病は増加傾向にあり,今日では必ずしも稀な疾患ではなくなってきた.一方,最近になって鳥類とは無関係にヒトからヒトに感染し,肺炎,気管支炎を起こす新しいC. psittaci変異株(TWAR株)3)が見いだされており,わが国でも後藤ら4)が,鳥類や哺乳動物と接触がなくて血清学的にオウム病と診断した10症例について考察を加えている.
一般にオウム病は呼吸器症状の他に多彩な症状,所見がみられ,髄膜炎,敗血症などを併発し死亡する例も報告されている.診断は問診が唯一の手掛かりとなり,早期に適切な処置をとることが大切である.
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