今月の主題 消化管ホルモンの基礎と臨床
トピックス
Brain-Gut Peptide
矢内原 昇
1
,
窪田 真理
1
1静岡薬大薬学部生物薬品化学
pp.2235-2237
発行日 1979年12月10日
Published Date 1979/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216327
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年,多くのペプチドが単離精製され,その構造が明らかになり化学合成も行われた結果,純度の高いペプチドの入手が比較的容易となり,RIAや免疫組織化学的研究が大きく発展し,ペプチドホルモンの組織内分布ならびに産生細胞が明らかになってきた.最近この分野での注目すべき発見は,脳と消化管に共存するペプチド(brain-gut peptide)の存在が知られたことである1).
現在までに免疫組織化学的研究またはラジオイムノアッセイにより見出されたbrain-gut peptideは,substance P,ソマトスタチン,エンケファリン,vasoactive intestinal polypeptide(VIP),コレチストキニン(CCK),ガストリン,ボンベシン,ノイロテンシン,TRH,モチリン,グルカゴン,インスリンなどである.このうちsubstance P,ノイロテンシンおよびCCK 8は,脳および消化管の両者から単離され同一の構造をもつことが確認されている.脳および視床下部由来のエンケファリン,TRHの免疫活性は消化管で認められたが,まだ単離されていない.またsubstance P,エンケファリン,ソマトスタチン,VIPは中枢神経系のみならず,消化管粘膜下神経叢などを含む種々の末梢神経系にも局在する.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.