今月の主題 消化管ホルモンの基礎と臨床
トピックス
APUDOMA
曽我 淳
1
1新潟大医療技術短大部
pp.2232-2234
発行日 1979年12月10日
Published Date 1979/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216326
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はじめに
Apudomaという表現は,ハンガリーの女医Szijjら5)が1969年甲状腺のACTH分泌性髄様癌またはC-細胞癌(calcitoninoma)に対して初めて用いたもので,その前年Pearseの提唱したAPUD seriesの学説1)によるapud細胞を母細胞とする腫瘍群ないしは過形成性病変をいう.APUDはAmine and Precursor Uptake and Decarboxylationの頭文字から構成された語で,アミンやその前駆物質を取り込んで脱炭酸する能力のある一群の細胞を一つの体系として理論づけたものが,いわゆるPearseのAPUD学説といわれるものである.これら一群の細胞は,一般にいわれる多くの内分泌器官の内分泌細胞のほかに原腸系組織器官に散在するポリペプタイドやアミンを産生・貯蔵分泌する内分泌系細胞の多くを含んでいる.
いわゆるAPUD学説そのものは現在決して完成されたものではなく,広く信奉されつつある一方,この学説に批判的な専門家もあることを十分ふまえた上で3),この細胞系のApudomaといわれる腫瘍について解説を試みたい.
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