臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
XI.腎機能検査
142.クレアチニンクリアランス
東條 静夫
1
,
稲毛 博実
1
1筑波大臨床医学系内科
pp.1966-1967
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216246
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はじめに
クレアチニンは糸球体で限界濾過のあと尿細管で一部の排泄がつけ加えられるが,ヒトにおける尿細管での態度には不明の部分も多い.臨床的定量法としてのFolin法は真のクレアチニンのほかに,いわゆる"non-creatinine chromogen substance"にも反応し,両者の腎における排泄態度はまったく異なるので(後者は腎での排泄は著しく低い),測定されるtotal clearance(Ccr)の意味づけは生理学的には難点が多い.臨床上,糸球体濾過機能の正常ないし中等度低下の群では同時に正確に測定されたCcr/Cthioは0.8〜1.2でよく一致するが,これは前記non-creatinine chromogen substance(total chromogenの20%程度)とクレアチニンの尿細管排泄のたまたまの結果であって,高度の糸球体機能障害(GFR 30ml/min以下)の例や外因性にクレアチニンを負荷してPcrの上昇している状態ではCcr/Cthio比は1.0〜2.5と上昇する.
クレアチニンは骨格筋の代謝終末産物であって,外因性の食事蛋白に直接依存せず,Pcrは日内変動が少ない(10%以下).尿量も0.5ml/min以下でなければ排泄態度への影響が少ない性質を有するために長時間クリアランス法として有利であり,また内因性物質で特別の負荷を要しないために臨床例で容易に頻回くり返しの測定が可能である.
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