臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
I.尿検査
18.妊娠反応
高木 繁夫
1
,
栃木 武一
1
1日大産婦人科
pp.1664-1665
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216122
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はじめに
妊娠反応は胎盤の絨毛組織より分泌される絨毛性性腺刺激ホルモン(Human Chorionic Gonadotropin:HCG)を生物学的または免疫学的方法により妊婦尿を用いて検出する方法である.従来より主に妊娠の早期診断および絨毛上皮腫患者の術後管理および追跡調査などに利用されている.
最近HCGに関する化学的・生理学的研究が進歩し,HCGはその分子量が約40,000とされる糖蛋白ホルモンの一つであり,非共有結合を有したαおよびβの2種類のsubunitから構成されている.HCGのα-subunitはTSH,LH,FSHなどのそれと共通性・互換性を持っており,β-subunitはHCGに特異的であり,かつHCG由来の生物学的ホルモン活性をあらわすために必要とされている.一方,HCGの生理学的役割には①妊娠初期の黄体賦活作用,②胎盤のステロイドホルモン生合成能への関与,③妊卵の免疫学的防禦機構への関与,④胎児睾丸の機能分化への作用などがあるとされている.これらのHCGの研究に伴って最近血中・尿中HCGの動態についても再検討され,いっそう詳細にされている.
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