連載 産科臨床検査の実際・1【新連載】
妊娠反応
石井 明治
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科
pp.5-8
発行日 1985年1月25日
Published Date 1985/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206571
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なぜ尿を調べると妊娠しているのがわかるのか
妊娠すると,無月経になり,基礎体温の高温相が持続したり,"つわり"が始まったりする.この時期になると患者さんも「妊娠したらしい」と気づくわけであるが,すでにこの時点で妊娠9〜10週になっている.最近の検査法は驚異的な進歩をとげ,妊娠第5週ごろから,尿を調べることにより,妊娠を判定できるようになっている.妊娠すると,胎盤の絨毛から,血中および尿中に絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が排出されるので,これを免疫学的に測定して妊娠の判定を行なうわけである.この方法は,従来行なわれていた生物学的妊娠反応(フリードマン反応,アッシュハイム・ツォンデック反応)に比較して,操作も簡単で短時間で処理できる利点をもっている.現在,この免疫学的妊娠反応は,流産・子宮外妊娠の判定の他,絨毛性疾患の予後判定にも利用されている.妊娠診断薬も多数みうけられるが,代表的なものを選んで,その測定原理と測定方法を解説してみる(図1,表1).
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