今月の主題 腸疾患の臨床
腸疾患の検査
内視鏡検査—小腸
竹本 忠良
1
,
土岐 文武
2
1山口大第1内科
2東女医大消化器内科
pp.1154-1155
発行日 1979年8月10日
Published Date 1979/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215992
- 有料閲覧
- 文献概要
小腸内視鏡検査の現状
小腸の内視鏡検査法はまだまだ完成していない.1971年頃から小腸ファイバースコープの開発がすすめられているが,相手は手ごわい.小腸のもっている内視鏡に不利な解剖学的条件が,われわれ内視鏡専門家の挑戦を執拗にはねつけている.
それでも,現在いくつかの方法が試みられていて,①push方式,②sonde方式,③rope-way方式,④大腸ファイバースコープによる逆行性回腸観察法があり,不完全ながらも,小腸の内視鏡検査法は内視鏡診断,直視下生検のほかに,消化吸収の機能的内視鏡検査法の研究がすすめられている.①,②,③の方式が小腸ファイバースコープを使用するわけであるが,術者の意志で挿入する①では,挿入深度は上部空腸鏡としては一応使いものになるが,挿入深度はTreitz部を約80cm越えたところが限界と思ってよい.②のsonde式は患者の苦痛も比較的少なく,深部空腸,さらに回腸までも観察できるが,検査に長時間かかること,原則的に生検ができないこと,小腸の蠕動運動のため任意の部位の安定した観察がむずかしいという欠点がある.③は小腸全体の内視鏡検査をはじめて可能にした方法であり,現在でもその有用性はかなり高く評価されている.しかし,あらかじめ患者に腸紐をかなりの時間をかけてのませておかなければならないこと,この腸紐が通らない腸狭窄の症例にはファイバースコープの挿入が不可能であるという欠点がある.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.