今月の主題 癌と免疫
癌免疫療法の実際(内科領域での)
肺癌
西條 長宏
1
,
仁井谷 久暢
2
1国立がんセンター内科
2国立がんセンター臨床検査部
pp.1046-1048
発行日 1979年7月10日
Published Date 1979/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215969
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はじめに
肺癌のわが国における発生頻度は近年急速な上昇を示し,肺癌による死亡率は全悪性腫瘍死亡のなかで胃癌に次いで第2位を占めている.肺癌の治療は早期診断,早期治療にまさるものはない.しかし,早期診断技術の進歩にもかかわらず,肺癌症例の大半は診断確定時すでに全身化していることを考えれば,局所療法(外科切除,放射線療法)のみによる肺癌症例全体の延命は期待しがたい現状である.一方,全身療法としての化学療法,免疫療法の進歩は著しい.したがって,化学療法,免疫療法を,外科切除例あるいは全身転移のみられる進行肺癌症例に導入し,担癌患者の延命をはかろうとするMultidisciplinary Treatrnentが広く行われてきている.
本稿では,肺癌の免疫生物学および免疫療法の背景,問題点を明らかにするとともに,肺癌に対する免疫療法の現状,今後の免疫療法のありかたについて概説する.
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