今月の主題 血栓とその臨床
血栓成立のメカニズム
カラーグラフ
血栓の形成とその転帰
田中 健蔵
1
1九大第1病理
pp.848-850
発行日 1979年6月10日
Published Date 1979/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215913
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はじめに
血栓とは,生体の心臓,血管内において血液が凝固して生じた塊りで,これが形成される病的現象を血栓症という.
血栓はその形成される部位により,動脈血栓,静脈血栓,毛細血管血栓に分けられ,またその性状,形成機序を含めて,赤色血栓,白色血栓,それらの混在する混合血栓およびフィブリン血栓などに分けられる.そしてVirchow以来,血栓形成には,①血管壁の性状の変化(内皮細胞の剥離など),②血流の変化(すなわち血流の緩徐化や停止あるいは渦巻きなど),③血液成分の変化(凝固因子の異常や血小板の異常,高脂血症など)が関与するといわれてきたが,これらは今日でも血栓形成の最も基本的な要因であることに変わりはない.
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